この記事は「成功報酬型の有料職業紹介」(一般に転職エージェントと呼ばれるもの)について書いています。
求人情報や求職者情報を提供するけれど、雇用成立のあっせんまではしないサービス(募集情報等提供)は、職業紹介とは法律上の区分が異なります。収益の取り方もサービスごとに違うため、この記事の説明はそのまま当てはまりません。
転職エージェントを使っていて、こんな状態になっていないでしょうか。
- 希望を伝えたのに、届く求人が噛み合わない
- なぜこの求人を勧めるのか、理由が具体的に返ってこない
- 「まずは数を受けましょう」と、応募を急かされる
ここで多くの人は「担当者との相性が悪かった」と結論づけます。そして別のエージェントに登録し直す。でも、また同じことが起きる。
担当者を変えても解決しないなら、原因は担当者の側だけにあるわけではない、ということになります。
結論担当者に聞く3つの質問
先に持ち帰れるものを置きます。紹介された求人に対して、そのまま聞いていい3つです。
- 私の経歴のどこが、この求人に合っていますか? どの経験がどの要件に対応するのかまで返ってくるか
- 希望条件と合わない点はどこですか? 合わない点を先に言えるかどうかが、いちばん差が出る
- ほかの求人より、これを先に勧める理由は何ですか? 紹介の順番に理由があるか
なぜこの3つなのか。エージェントの収入がどこから来ているかを見ると、理由が分かります。
POINT 01なぜ「無料」で使えるのか
有料職業紹介事業は職業安定法にもとづく許可制で、求職者からの手数料徴収は原則として禁止されています(厚生労働省令で定める一部の職種を除く)。つまり「無料」は各社のサービス方針である以前に、制度としてそうなっている部分があります。
※無料なのは職業紹介そのものについてです。職業紹介と区分された研修・適性検査などが、別途有料で提供されることはあります。
では、どこからお金が入っているのか。
収入の中心は、採用企業から支払われる紹介手数料です。年収の一定割合、または定額で支払われる形式があります。成果として認められる時点(内定承諾・入社・就業開始など)は、会社と契約によって異なります。
この構造から言えることは、ひとつです。
この成功報酬は、登録して面談しただけでは発生しない。
面談に何時間かけても、求人を何件紹介しても、採用が成立しなければこの報酬は入りません。
POINT 02利害は「全部一致」でも
「全部対立」でもない
ここを雑に扱うと判断を誤ります。エージェントは敵ではありません。ただし、利害が完全に一致しているわけでもない。
採用が決まることについては、方向が一致します。年収が高く決まることも、手数料が年収に連動する形式なら同じ方向を向きます。
一方で、その求人が5年後のキャリアまで含めて最適かどうかは、成功報酬には反映されにくい部分です。
この構造では、保有している求人や、選考が進みやすい求人を提案するインセンティブが生まれます。
ただしこれは、勧められた求人がすべて「紹介会社の都合」という意味ではありません。外からは動機を判定できない、というのが正確なところです。
だから確認するのは担当者の熱量ではなく紹介理由になります。冒頭の3問は、ここから出てきています。
POINT 03返ってきた答えの見極め方
3問を投げたあと、返ってきた答えを次の3段階で分けます。内容の良し悪しではなく、具体性で分けるのがコツです。
担当者の変更は、サービスによっては申し出ることができます。合わないまま進めるより、早い段階で相談したほうが時間を失いません。
POINT 04いま何を知りたいかで選ぶ
ランキング上位から順に登録すると、同じ性格のサービスばかりが集まって、届く情報が重複します。いまの自分が知りたいことから逆算するほうが外しません。
FLOW登録したあと、どうなるのか
「登録したら転職しないといけない」と思っている人が多いのですが、応募するかどうかを決めるのは4段階目です。
公開されていない求人を持っているかどうかと、担当者の説明が具体的かどうかは、登録して面談してみないと分かりません。
POINT 05先に知っておくこと
紹介できる求人がないと言われることもある
経歴や、その時点の求人状況によって変わります。紹介を事前に保証できるサービスはありません。
複数登録するなら、応募先を自分で記録する
複数登録は問題ありません。ただし同じ企業の同じ求人に複数のエージェント経由で応募すると、重複応募として扱われることがあります。他社経由の応募状況が、各エージェントへ自動的に共有されることは通常ありません。どこに何を出したかは自分で記録しておくのが確実です。
職務経歴は、エージェント間で揃える
同じ企業に別ルートで情報が届いたとき、内容の食い違いが見えてしまいます。在籍期間・売上・人数規模などの数字は揃えてください。重要な経歴の詐称と評価される内容は、内定取消や入社後の懲戒の理由になり得ます。
現職に知られる経路を先に塞ぐ
Q&Aよくある質問
現在の勤務先に知られませんか?
完全に知られないことを保証できるサービスはありません。そのうえで、リスクを下げる方法はあります。
経歴を公開するタイプのサービスには、在籍企業を閲覧対象から外す設定を用意しているものがあります。登録直後に設定してください。連絡先に会社のメールアドレスや電話番号を使わないことも基本になります。
登録したら必ず転職しないといけませんか?
そうではありません。ただし担当者の動き方は「転職の意思がどの程度あるか」で変わるため、現時点の温度感は最初に正直に伝えたほうがお互いの時間を無駄にしません。
まとめ持ち帰るのは3つ
エージェントを無条件で信じる必要はありません。保有求人と担当者の説明を確かめて、合わなければ応募しない。それで十分です。